三越伊勢丹グループでは、屋上緑化や養蜂・ファーム活動を通じて、生物多様性保全に取り組んでいます。
養蜂
岩田屋三越では、2017年度より従業員が主体性をもって生産から商品開発・宣伝・販売と一連のマーチャンダイジングに携わることで地域と絆を深め、生産地の現状や課題を知り接客販売に生かす活動、「岩田屋三越ファーム」プロジェクトを開始。2018年度はお茶の栽培と屋上養蜂、2020年度は栗の栽培も新たにチャレンジし、食を取り巻く環境と生物多様性について、お客さまに関心を持っていただくきっかけとなっています。
接客の中でお話しする田植えや草刈りの苦労話しなども、食を取り巻く環境と生物多様性について関心を持っていただくきっかけになっています。
2018年度からスタートした福岡県筑後市で”八女茶づくり”に加え、2020年度からは八女茶発祥の地である福岡県八女市黒木町笠原地区での生産にもチャレンジしています。
標高約300メートルの山の斜面を活かした笠原地区の茶畑は、水捌けが良く日当たりも良好。反面、作業がしにくく手入れの難しさも特徴のひとつで、放っておくと山全体に雑木や雑草が生い茂り、日当たりや風通しが悪くなることで、多様な生物が生息する環境ではなくなります。
岩田屋三越ファームの茶畑は、下草刈りや周辺の木々を整えたりと人の手を加えることで、日光が程よく地面に届き、風で空気が行き交う環境を保つことで、さまざまな生物が育まれる場となっています。
2017年、福岡三越開店20周年プロジェクトとしてスタートした屋上養蜂は、2018年度から「岩田屋三越プロジェクト」として活動しています。
九州最大の商業集積地区である天神で行う屋上養蜂は、人や昆虫・植物など、さまざまな生き物が力を合わせることで生まれる自然の恵みを実感する取り組みです。
2020年度から、新たに熊本県菊池市で栗の栽培を開始しました。
8月下旬に実施した栗の収穫では、気温35度を超える猛暑の中での作業となりました。暑さで体力の消耗が激しく、改めてモノづくりの厳しさを感じるとともに、猛暑の中でも活発に動く数々の昆虫や小動物の存在を感じながらの作業となりました。
日本橋庭園
屋上緑化の取り組み(伊勢丹新宿本店、三越日本橋本店、三越銀座店 )
2019年5月にオープンした日本橋の屋上庭園も含め、すべて「SEGES(シージェス)都市のオアシス※」に認定されています。
伊勢丹新宿本店「アイ・ガーデン」は、人間と動植物が共存していた里山の雑木林をイメージして作られた広さ2,050㎡の庭園です。春・夏・秋の3つのゾ-ンに、約350種の季節の植物が植えられています。
三越銀座店「銀座テラス」は、銀座を訪れるすべての方に憩いと癒しの場を提供し、「自然と触れ合い、自然と親しむ」をテーマにした公共空間。芝生広場や四季の草木が広がる「テラスガーデン」、近隣の小学生が苗植え~収穫までを行う「テラスファーム」があり、飲食や子供の休憩スペース等も充実しています。
三越日本橋本店の『日本橋庭園』は、「集いの広場」「季節を映す水辺」「遊びの野原」「鎮守と伝統の杜」「四季の森」の5つのゾーンで構成されます。
くわしくは こちら をご覧ください
屋上緑化により、①表面の温度上昇の抑制効果 ②省エネ効果 ③空気の清浄・ヒーリング効果のほか、周辺緑地をエコロジカルネットワークでつなぐ効果があり、生物多様性にも貢献しています。アイ・ガーデンではサーモグラフの実験や、生態系サービス(生物多様性がもたらす恵み)効果に関する調査により、都市の生物多様性保全が、生物だけではなく人の生活環境向上にも役立つことを検証しています。また、植物の光合成により年間約7t-CO2を吸収すると試算しています。
サーモグラフカメラで撮影。緑化部分の温度が低いことがわかる
太陽光パネルも設置しており、年間発電量は約6万kWh、年間23トンのCO2削減効果があります。 都心の屋上にある開放的な芝生広場や植物は訪れる人々を癒し、お子様連れのお客さまも安心して遊ばせることができる場所として認知されています。
※(公財)都市緑化機構が事業者の都市緑化への取り組みを認定・評価する、社会環境貢献緑地評価システム