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持続可能な社会・時代をつなぐ

重点取り組み
持続可能な社会・時代をつなぐ

2015年12月、国連気候変動枠組条約第21回締約国会議(COP21)で「パリ協定」が採択され、世界はより脱炭素社会の実現に向かって動いています。昨今日本では、平均気温の上昇、猛暑日の増加、ゲリラ豪雨の頻発など気候変動に起因した災害に数多く見舞われています。これらの災害は三越伊勢丹グループの事業に影響を及ぼすと同時に、社会の消費行動にも影響を与えています。
2020年度は、経営戦略につながるTCFD提言に沿ったシナリオ分析を行い、引き続き未来に向けた低炭素・脱炭素、資源循環の取り組みを進めてまいります。

持続可能な社会・時代をつなぐ
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

脱炭素社会に向けて

2020年環境中期目標に対する結果報告

2020年環境中期目標に対する結果

三越伊勢丹グループではエネルギー使用量削減に向けた取り組みを継続的に行ってまいりました。2020年環境中期目標「グループのエネルギー使用量原単位〈消費量/(延床面積×営業時間)〉について2010年度を基準年度として2020年度に▲20%(固定係数を適用)」を目指してきました。結果は21.2%の削減となり目標を達成しました。今後、2030年環境中期目標、2050年環境長期目標に移行し、長期修繕計画にもとづいた温室効果ガスの削減に取り組んでまいります。

2020年度 取り組み結果

新型コロナウイルス感染症拡大により54日間の休業と時短営業要請の影響により大幅な削減となりました。2021年度は手順の検証、運用の見直しを進め、引き続き温室効果ガス削減に取り組んでいます。

エネルギー使用量(原単位)
エネルギー使用量(原単位)
CO2排出総量(マーケット基準)
CO2排出総量(マーケット基準)
水使用量
水使用量
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

環境に関する中長期目標

三越伊勢丹グループでは気候変動に対し、「技術」並びに「レジリエンス」を念頭に、最新の省エネ技術、耐浸水技術等に関わる情報を踏まえ、当社グループの長期修繕10ヶ年計画において、長期・中期・短期の時間軸で投資優先順位の入れ替えや、グループ各社の好事例共有を行っています。建物そのものの維持管理により安全で快適な環境を提供しつつ、日々の運用で省エネの取り組みを積み重ね、温室効果ガス削減につながっています。

2030年環境中期目標結果

2018年度に、パリ協定の潮流を受け、政府目標よりも高い目標として、2013年度を基準に2030年度には温室効果ガス排出量42%削減を目標に取り組みを進め、2020年は44.1%削減となりました。要因としては前項と同様に新型コロナウイルス感染症拡大に見舞われ、政府の緊急事態宣言発出により54日間の休業や、その後もたびたびの時短営業要請のため、大幅な削減となりました。また2021年4月の日本政府の目標修正を受け、当社グループの目標設定についても見直し、修正を行い▲50%削減に引き上げました。

※現在、日本政府の温室効果ガス排出量削減目標は2013年を基準として2030年に▲46%

2020年度 Scope1・2の結果

2020年度は前年に対し19.9%の削減となりました。新型コロナウイルス感染症拡大による政府の緊急事態宣言を受け、54日間の休業に加え、その後も時短営業を行ったことが削減値に影響しています。

2020年度 Scope3の結果

サプライチェーン全体での環境負荷低減、CO2削減の取り組みが重要であるとの認識のもと、Scope3 CO2排出量の算定・開示が求められています。 当社グループでは、2018年度より、「サプライチェーンを通じた温室効果ガス排出量算定に関する基本ガイドライン」と、「同 排出原単位データベース(Ver.3.1)」(2021年3月改訂 環境省・経済産業省)にもとづき、Scope3を算定・開示しています。 2020年度の当社グループのScope3は、2019年度比で87.5%という結果となりました。 また、昨年度に続き、Scope3に関わる第三者検証を受審し、算定の正確性を確認しました。

気候変動に対する外部評価

  • 当社グループでは2018年度よりCDP「気候変動質問書」に回答しています。2021年は「A-」でした。

  • CDP「気候変動質問書」
2050年環境長期目標
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

TCFD提言に沿った情報開示

はじめに

  • 三越伊勢丹グループでは気候変動対応を、企業活動を営んでいくうえでの重要課題に位置付けています。
    2018年度に当社グループが事業を通じて持続可能な社会の実現に貢献するためのマテリアリティ(①人・地域をつなぐ、②持続可能な社会・時代をつなぐ、③従業員満足度の向上)を特定し、気候変動対応を含むサステナブルな経営を推進してきました。
    2018年度に2030年環境中期目標(CO2排出量2030年度に2013年度比▲42%)を掲げると共に、2019年度に2050年度CO2排出量実質ゼロを目指すことを決め、ロードマップを策定しました。
    このような状況にあって、当社グループとして気候変動対応をより積極的に推進していくため「気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures)」(以下、TCFD)に2021年11月に賛同しました。引き続き環境変化を踏まえ、より定量的な情報をもとに、評価、分析の見直しを図っていきます。

  • TCFD

TCFDとは

  • TCFD(気候関連財務情報開示タスクフォース)とは、FSB(金融安定理事会)により設置された、企業に対して年次報告において、財務に影響のある気候関連情報の開示を求めるものです。
    当社グループの気候変動に関するリスク・機会を洗い出し、評価し、そして対策を講じることで、企業グループとしてのレジリエンスを高めることはもとより、地域社会の一員としての役割を積極的に果たしていきます。

  • TCFDとは

ガバナンス

当社グループでは、気候変動問題を重要課題と捉え、他のリスクと同様に企業を取り巻くリスクの未然防止対策を講じ、リスクが顕在化した際に迅速な対応を実行するためのリスクマネジメント体制を敷き、その責任者としてCRO(チーフ・リスク・オフィサー)を設置しています。
CROは、代表執行役社長(CEO)の参謀的役割として気候関連のリスクと機会の評価と管理、気候関連問題をはじめとする企業のリスクについて最高位の責任を負い、取締役会への説明責任を有し、報告・モニタリングを行っています。取締役会は、協議・決議された内容の報告を受け、対応方針および実行計画等についての論議、監督を行っています。

戦略

三越伊勢丹グループでは、2つの将来の姿を思い描き、いずれの場合においても適切に対応できるようにシナリオ分析を行いました。
いずれのシナリオも国際エネルギー機関(IEA)、気候変動に関する政府間パネル(IPCC)が公表しているシナリオをベースに進めました。

具体的には、気候変動対策が思うように進んでいない現在の延長線上の「4℃の世界」、気候変動対策が進みパリ協定の目標が実現した「2℃未満の世界」を定め、それぞれの世界が当社グループに与える財務的な影響等を洗い出し、リスクと機会の双方から検討したうえで適切な対応を講じてまいります。

参照シナリオ

Representative Concentration Pathway 8.5/2.6℃〜4.8℃ IPCC2015年
Stated Policies Scenario WEO
Reference Technology Scenario IEA
Sustainable Development Scenario WEO
Beyond 2℃ Scenario IEA
Representative Concentration Pathway 2.6/0.3〜1.7℃ IPCC2014年
World Energy Outlook IEA

国交省「気候変動を踏まえた治水計画のあり方提言」

2℃未満の世界 〜脱炭素化が進み、自然災害の激甚化にも歯止め〜

2℃未満の世界

4℃の世界 〜現状延長線上の世界で、自然災害はより激甚化~

4℃の世界
4℃の世界

リスク管理

三越伊勢丹グループでは、気候変動に関するリスク(移行リスク・物理的リスク)・機会の双方について、以下のプロセスにもとづいて評価、分析、対応しています。
また当社グループは、気候変動に係るリスク・機会について、「サステナビリティ推進会議」において検討を行い、各社・各部門への共有を図っております。

1. 当社グループに影響を与えると考えられる、気候変動に関するリスク・機会を抽出

2. 抽出したリスク・機会をお客さま・お取組先・地域社会・投資家などのステークホルダーに与える影響度と、リスク・機会発生の可能性の2軸でプロット

3. プロットされた項目毎の影響度について、定量面・定性面双方の視点から検討し、重要度を確定

リスクに対する取り組み

当社グループとして脱炭素社会を実現し、持続可能な社会にしていくことに貢献するための目標を設定し、実現に向けた取り組みを推進してまいります。

具体的取り組み策

◆ 照明のLED化の推進

◆ 環境に配慮した店舗づくり

◆ 屋上緑化や建物の環境性能維持管理

指標と目標

  • ◆ 環境中期目標:2030年における温室効果ガス排出量を2013年度比▲50%

    ◆ 環境長期目標:2050年における温室効果ガス排出量実質ゼロ

    ◆ 環境長期目標の実現に向けて、再生可能エネルギーへの切り替え計画、お取組先へのアセスメント実施、SBTの認証取得等について、併せて検討・実施してまいります。

  • 指標と目標

機会を活かす取り組み

当社グループのマテリアリティ「人・地域をつなぐ」、「持続可能な社会・時代をつなぐ」では、高まる気候変動などの環境に対する意識を踏まえた、環境配慮型商品やサービスの提供を積極的に行ってまいります。

具体的取り組み策
  • ◆ 本業を通じて取り組む
    “think good”

    think good
  • ◆ 買い取り・引き取りご相談窓口
    i'm green

    i'm green
  • ◆ 日本環境設計のサプライチェーンにて
    リサイクル “think good”

    日本環境設計のサプライチェーンにてリサイクル
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

温室効果ガス削減の取り組み

LED化の取り組み

2011年より店頭の天井照明をすべてLED化することを目標とし、2020年度までに約87億円を投資し約51万台の照明器具をLEDに交換しました。内容としては、蛍光ランプ、HIDランプ(水銀灯などの放電管)、および一部残存していたハロゲンランプをLEDに交換する工事を実施しています。この結果、2013年度比で年間電力使用量は約40.6%削減、電力由来の温室効果ガス排出量は26,290t削減しました。

伊勢丹新宿本店 外観照明の刷新による温室効果ガス削減

伊勢丹新宿本店は、本館の外壁修繕を2019年度より進めてまいりました。2020年9⽉25⽇にすべての⼯事が完了し、外壁照明デザインを刷新しました。従来⽐約50%の消費電⼒で、温室効果ガスを削減したあたらしい照明デザインは、⽇没から深夜までの時間の変化や、四季の変化を演出し、新宿の街の情景に潤いや楽しさを与えています。

LED照明設置台数と全国電力使用量の推移
LED照明設置台数と全国電力使用量の推移

首都圏店舗のバックヤード照明のLED化

  • 2019年度までに当社グループ店舗の天井照明LED化が95%を超えたため、2020年度は首都圏店舗の後方照明LED化に着手しています。

  • 伊勢丹新宿本店伊勢丹新宿本店

屋上熱源機器更新によるCO2削減

2021年秋から段階的にリニューアルオープンする松山三越では、地域と協業した店づくりを進めています。
店舗設備の大規模修繕を実施し、屋上熱源機器を既存の大容量機器から、コンパクトな機器に更新し、日々の天候や店舗内環境に配慮して、さらに細かな運用を行うことで、年間温室効果ガス排出量を660t削減することが可能となりました。

地域に根差した、脱炭素な店づくり

  • (株)静岡伊勢丹が運営するコリドーフジは、建て替え、リニューアルオープンに伴い、お客さまに快適な空間を提供しながら温室効果ガス排出量削減を実現しています。複層ガラスの採用により断熱性の向上、LED照明の設置のほか、自然通風や採光による空調運転負荷軽減に取り組んでいます。

  • (株)静岡伊勢丹  コリドーフジ(株)静岡伊勢丹 コリドーフジ
静岡伊勢丹 コリドーフジ 取り組みのポイント
静岡伊勢丹 コリドーフジ 取り組みのポイント

環境リスクへの対応

当社グループでは、廃棄物処分やアスベスト除去を適切に実施しています。またPCBの適正処理、フロンガスの排出抑制を進めています。
廃棄物は業者選択や社員教育を含め廃棄物管理への意識醸成を図り、運用しています。またアスベスト除去は解体工事・改修工事等で確認されたアスベストの除去、対策を適切に実施しています。
PCB(ポリ塩化ビフェニル)は「PCB特別措置法」に基づき、PCB含有産業廃棄物のため、環境安全事業(株)(JESCO)他の協力を得て処分をして参りました。2022年3月31日の処分期限も近づいているため2020年度は再度調査・確認を行いました。
フロン管理は「フロン排出抑制法」施行により更なる排出抑制を目指し、
(1)使用機器の把握、台帳の作成 
(2)簡易点検(3カ月に1回以上)と定期点検の実施、結果の記録・保管 
(3)フロン漏えいの場合、修繕、充填、証明書の保管 
(4)保有量・漏えい量の集計・報告 
(5)機器廃棄の際のフロン類回収、
を実施しています。

屋上緑化の取り組み

  • 屋上緑化は日射を遮断し、コンクリートの蓄熱を防ぐことにより建物最上階の空調負荷が低減され、建物の省エネを実現できます。緑化は、建築物を緑で覆うことにより、蒸散作用によるヒートアイランド緩和に効果があることから、当社グループでは温暖化対策の一環として注力しています。
    屋上緑化により、①表面の温度上昇の抑制効果 ②省エネ効果 ③空気の清浄・ヒーリング効果のほか、周辺緑地をエコロジカルネットワークでつなぐ効果があり、生物多様性にも貢献しています。
    伊勢丹新宿本店「アイ・ガーデン」、三越日本橋本店「日本橋庭園」、三越銀座店「銀座テラス」は、都市緑化機構の「SEGES(シージェス)都市のオアシス」に認定されています。

  • 屋上緑化の取り組み

2006年に伊勢丹新宿本店本館屋上にオープンした「アイ・ガーデン」は、ひろびろとした芝生広場と、桜や紅葉などの雑木林が織り成す安らぎの庭園です。
2010年には、三越銀座店に「銀座を訪れる方に“憩いと賑わい”の提供」を目指した「銀座テラス」がオープン。隣接するレストランやカフェには、お子様連れのお客さまが多く来店し、ショッピングの合間のくつろぎの場となっています。
2019年5月に、三越日本橋本店本館屋上は、「日本橋庭園」として生まれ変わりました。
この庭園は、三越日本橋本店本館屋上の高さと、皇居の標高が同じ百尺(約31m)であることから、皇居の豊かな植生に倣った緑を再生しています。
三越日本橋本店前の中央通りに沿ったビル群の高さは、「日本橋庭園」と同じ高さ(約31m)で統一されています。「日本橋庭園」は街の一部として溶け込んでおり、都会の中の自然として、多くのお客さまにご来場いただきながら、自然を楽しむことのできる場所となっています。

  • 伊勢丹新宿本店「アイ・ガーデン」伊勢丹新宿本店「アイ・ガーデン」
  • 三越日本橋本店「日本橋庭園」三越日本橋本店「日本橋庭園」
  • 日本橋庭園 アキアカネ日本橋庭園 アキアカネ
  • 三越銀座店「銀座テラス」三越銀座店「銀座テラス」

安全で快適、環境品質の高い建物維持管理の取り組み

  • 伊勢丹新宿本店・三越日本橋本店・三越銀座店は、2016年3月に「CASBEE不動産評価認証」で最高位のSランクを取得し、2021年7月に認証を更新取得しました。
    評価は建物の環境品質と環境負荷低減の30の配慮項目からなり、3店舗は「耐震化、維持管理、省エネ対策、屋上緑化などの周辺環境への配慮に積極的に取り組んでいること」「築年数が経過しても良好なメンテナンスと企業としての環境配慮により、高い環境性能を維持していること」が評価されました。
    今後も既存建物を維持しながら、安全で快適な環境を提供し、また、歴史的建築物である三越日本橋本店本館(国指定重要文化財)、伊勢丹新宿本店本館(東京都選定歴史的建造物)の保全と長寿命化を図り、大事に建物を使い続け持続的に後世に引き継いでいきます。

  • 安全で快適、環境品質の高い建物維持管理の取り組み
  • 伊勢丹新宿本店 伊勢丹新宿本店
  • 三越日本橋本店 三越日本橋本店
  • 三越銀座店 三越銀座店
  • 伊勢丹新宿本店認定証 伊勢丹新宿本店認定証
  • 三越日本橋本店認定証 三越日本橋本店認定証
  • 三越銀座店認定証 三越銀座店認定証
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

サプライチェーン・マネジメント

循環型社会に向けて

基本的な考え方

  • 三越伊勢丹グループ調達方針において「持続可能な循環型社会・省資源社会を目指し、サプライチェーン全体での廃棄物の排出抑制と適正処理、資源循環に努めます。」と掲げています。その具体的行動の一つが「4R」です。適切な発注と在庫管理、長く大切にご利用いただくための上質な品ぞろえとアフターケア、買い取りのご提案や衣料品回収など、お客さまのご要望に対応しながら当社グループだからこそできる資源循環の形を目指してまいります。

  • ※4RのRefuse、Reduce、Reuse、Recycle

    伊勢丹新宿本店

当社グループにおける資源循環と4R お客さまへ「使う」「手放す」の様々な選択肢をご提案。

当社グループにおける資源循環と4R
「KUROZOME REWEAR」黒く染め替えて生まれ変わる服

三越伊勢丹グループの“think good”活動では、「モノを大切に長く使う価値観の享受」をテーマに4Rの推進に取り組んでいます。
この一環として、2021年3月より、伊勢丹新宿本店リ・スタイルおよび、三越伊勢丹オンラインサイトにて、黒染めサービス「KUROZOME REWEAR」をスタートしました。このサービスでは、日本の伝統的な正装である黒紋付を100年間染め続けてきた(株)京都紋付と協業。独自の深黒加工(しんくろかこう)で、深みのある黒に染め替えることにより、お客さまの大切なお品物に、新たな命を吹き込みます。
また、京都紋付は、『大切な服を長く着られるようにすることで、サステナブルな社会を実現する』という考えのもと、染め替えの工程での染料にもこだわり、過去にエコテックス®スタンダード100認証のクラスⅡを取得したこともある染料を使用し、地球環境に配慮した加工技術の開発にも取り組んでいます。
累計の注文件数は、330点を超え、当初予想を大きく上回る反響をいただいています。
今後も、「KUROZOME REWEAR」を通じて、愛着のある一着を長く使う喜びや、限りある資源に関心を持つきっかけをご提供していきます。

■INTERVIEW 社会課題を考えながらワクワクドキドキする仕掛けを提案。
(株)三越伊勢丹  クロージング&アクセサリー  Ⅰグループ 新宿婦人営業部  神谷 将太
  • (株)三越伊勢丹
  • クロージング&アクセサリー
  • Ⅰグループ 新宿婦人営業部
  • 神谷 将太

※在籍所属は2021年11月時点のものです。

(株)三越伊勢丹は長い歴史の中で『ファッション』によってお客さまとのつながりを作ってきたことから、環境に配慮しながらのモノ作りでも、お客さまに高揚感(ワクワク、ドキドキ、これ欲しい、かわいい、かっこいい)を抱いていただく仕掛けが必要だと考えています。私はバイヤーとして、上質な洋服や独自性のある洋服をご提案してきましたのでお客さまには修理をしながら長く着ていただきたいという想いを常に持っていました。一方で、新たな高揚感が生まれる消費・サービスの在り方をお客さまにご提案するのも私たちの大切な仕事だと考えています。「KUROZOME REWEAR」は、ご購入いただいて終わりではない、モノを介しお客さまとお取組先・地域と従業員の接点やコミュニケーションとなっています。また「どんなふうに仕上がるんだろう」といったお客さまの想像力を掻き立てる取り組みとなりました。
今後もデザイナーやクリエイターなど様々な人たちとのコラボレーションを通じて、ユーズドストックを蘇らせるプロジェクトを企画しています。これは単なる衣料品の再利用や修理ではありません。モノの仕込み、展開・世界観の仕掛け、販売、そのすべての過程においてお取組先や地域社会と協力しながら商品の価値を向上させ、お客さまにお伝えするのが百貨店の役割であり、最も大切なことだと思います。

  • 社会課題を考えながらワクワクドキドキする仕掛けを提案
  • 社会課題を考えながらワクワクドキドキする仕掛けを提案

マイバッグの利用と持ち歩き推進

  • 国内グループ百貨店では、容器包装リサイクル法関係省令改正によるプラスチック製買物袋有料義務化に伴い、2020年7月1日より、自社製プラスチック買物袋を順次廃止しています。
    また、プラスチック製買物袋だけではなく、紙製買物袋も含めた使用量削減のため、「マイバッグはお持ちでいらっしゃいますか?」のお声がけを強化し、“マイバッグの利用と持ち歩き”がスタンダードなライフスタイルとなることを目指しています。
    お客さまのご理解とご協力の結果、プラスチック製買物袋の使用量の大幅減となり、温室効果ガス約1,005tの削減(杉の木約40万本の温室効果ガス吸収量に相当)に寄与しました(2020年7月から2021年3月末まで)。

    ※環境省「3R行動見える化ツール」、林野庁「杉の木換算」にもとづいて計算

  • マイバッグのおすすめとともに、ペットボトル等の再生繊維を使用したオリジナルバッグを企画販売しています。2020年7月から2021年3月までに9万個を販売しました。マイバッグのおすすめとともに、ペットボトル等の再生繊維を使用したオリジナルバッグを企画販売しています。2020年7月から2021年3月までに9万個を販売しました。

リユース可能な容器での販売

  • 三越日本橋本店の食品フロアで、「プラスチック資源循環促進法」対応に向け、Loop Japan合同会社(以下ループジャパン)と東京都による「プラスチックの持続可能な利用に向けた新たなビジネスモデル構築」のための実証実験に参画しました。
    惣菜ブランドの桂林プレミアム、サルメリア ガリバルディのご協力のもと、2020年2月の2週間、リユース容器のお客さまの利便性や販売オペレーションを検証しました。惣菜事業における容器リユースは世界でも稀であるため、当社グループより事前段階で品質管理や衛生管理の重要性や留意点について報告するとともに、実際の販売の段階におけるオペレーションやお客さまの利便性に関する課題点についても提起しました。上記はループジャパンを通して事業報告書として、東京都環境局に提出されました。
    今後も、循環型の仕組みを利用した容器の継続的な取り組みを検討していきます。

  • 容器再利用のスキーム

    容器再利用のスキーム
  • 桂林プレミアム桂林プレミアム
  • サルメリア ガリバルディサルメリア ガリバルディ

統一ハンガーの回収

  • 百貨店業界では、1997年から、アパレル業界とともに廃棄ハンガー削減に向け「百貨店統一ハンガー」を導入し、三越伊勢丹グループもこれに参画しています。2020年度は、約23tのプラスチックごみの削減につながりました。これは約59tの温室効果ガス削減(杉の木24,521本分の吸収量)に相当します。

  • 統一ハンガーの回収

2020年環境中期目標結果(廃棄物)

  • 三越伊勢丹グループでは廃棄物排出量削減に向けた取り組みを継続的に行ってまいりました。2020年環境中期目標「廃棄物リサイクル率について2020年度に75%を達成」を目指してきましたが、結果は首都圏では76.8%を達成したものの、全国では71.3%となり目標達成に及びませんでした。現在、廃棄物計量器を百貨店店舗に設置し、種類ごとの排出量の「見える化」を進めています。今後も限りある資源を無駄にすることなく、有効活用に取り組んでまいります。

  • 廃棄物

    廃棄物

廃棄物排出量の削減に向けた様々な取り組み

「サステナブルウィーク」開催

(株)三越伊勢丹では農林水産省が2030年のSDGs達成を目指し、今だけでなく次の世代も豊かに暮らせる未来を創るべく立ち上げられたプロジェクト、「あふの環(わ)2030プロジェクト~食と農林水産業のサステナビリティを考える~」に参加しています。2020年9月、伊勢丹新宿本店食品フロアでは、サステナブルウィークを開催。社会課題となっている食品ロス削減を意識したお弁当のミニサイズ化や、食料資源不足の代替素材として注目されている大豆ミートの使用、減プラ容器の利用など、食と暮らしへの小さなヒントを投げかけました。

  • 「サステナブルウィーク」開催
  • 「サステナブルウィーク」開催
三越日本橋本店食品フロア
「サステナブルウィーク~Do well by doing good.~」

日本橋本店食品フロアでは食品ロス削減への継続的な取り組みを行っています。特に「資源を無駄にしない」取り組みとして、フルーツ売場では、ギフトとしての販売のほか、スウィーツやフレッシュジュースにも無駄なく利用してロスを削減しています。またイベントでは端材を贅沢に活用し、鮨屋では太巻きを、精肉店では牛肉コロッケを提供しました。催事終了後も、メニュー開発を継続して行っています。

  • 三越日本橋本店食品フロア
  • 三越日本橋本店食品フロア
  • 三越日本橋本店食品フロア
エムアイカードによる食品ロス削減の取り組み
  • グループ会社のエムアイカードでは、食品ロス削減を支援するサイトを紹介しています。2020年4月、新型コロナウイルス感染症拡大で緊急事態宣言が発出し、当社グループをはじめとした店舗の休業や、学校給食の休止による未使用食材の増加など、食品ロスの問題が大きな話題となりました。エムアイカードでは、支援活動に貢献されている事業者さまにお声がけし、エムアイカード会員向けのページにてご紹介させていただきました。

  • エムアイカードによる食品ロス削減の取り組み

i'm green

「捨てない社会」、「必要以上に作らない社会」を実現するため、三越伊勢丹グループでは使われなくなったものをまた新たに活躍できる未来につなげる場所へと送り出すビジネスを事業化しました。それが、2020年10月に始まった、i’m greenです。店頭(新宿・日本橋)での承りのほか、宅配でのサービスもあります。

i'm green
■INTERVIEW お客さまの声から生まれた、「捨てない社会」の実現。未来に向けた事業創造。
(株)三越伊勢丹 オンラインクリエイショングループ デジタル事業運営部 大塚 信二
  • (株)三越伊勢丹
  • オンラインクリエイショングループ
  • デジタル事業運営部
  • 大塚 信二

※在籍所属は2021年11月時点のものです。

「i'm green」(アイムグリーン)はお客さまの使われなくなったお品物を買い取り、お引き取りし、次につなげていくサービスとして2020年10月にトライアルをスタートいたしました。
サービス構築のきっかけは、お客さまの声でした。
以前私が伊勢丹新宿本店でお世話になっていたお客さまから「たくさん眠っているモノがあるから何とかしてほしい」とご相談いただき、ご自宅にお伺いしました。
クローゼットにはたくさんの洋服やバッグがありました。「今は使っていないモノも多く、どうしていいかわからない」と困っていらっしゃったのですが、当時の私には何もできず悔しさが残りました。その後新規事業企画の部署に異動し、当時のお客さまの声をもとに1年半の構想を経て実現したのがこの「i'm green」です。
i'm greenの特徴として、「捨てない社会」を実現するために、使われなくなったお品物の買い取り、お引き取りをメインにしながら、お値段がつかなかった衣料品などは提携企業を通じて、原料に戻すリサイクル活動も行っていることがあげられます。
今までの百貨店は、お買い上げいただいたお品物が、どのように使われ、最終的にどうなっているのか、追跡することはありませんでした。i’m greenを通じてお客さまの大事にされていたものを捨てずに何らかの形で次につなげていくことは販売後のサポートとして百貨店が存在する社会的意義になると思っております。
またもう1つの特徴として百貨店が運営している「安心」と「信頼」があります。
お客さまの声として最も多いのは、「整理したいけれども、どの会社・業者に頼めばいいかわからない。心配がある」というご意見でした。我々が検証スタートから約1年間で2,000件以上のご相談にお応えできたのは、(株)三越伊勢丹が長年培ってきた「安心」と「信頼」に拠るところが大きいと思います。大切なお客さまの情報を守ることもできるため、支持をいただいていると実感しております。
今後は、対応できるアイテムの拡充を行い、お客さまとの接点をより増やしていきたいと考えております。また残念ながら買い取りできずにお引き取りになってしまったお品物をリメイクしたり、形を変えて生まれ変わらせることができないかなど、廃棄の手段をできる限り減らして、環境負荷低減や社会貢献につながる取り組みに進化させていくつもりです。

三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

責任ある調達

三越伊勢丹グループでは、「持続可能なサプライチェーン」「ビジネスと人権」等の社会課題に対応するため、2018年度に「三越伊勢丹グループ調達方針」「三越伊勢丹グループ人権方針」を策定、ホームページにて開示しています。

お取組先へのアンケートを実施(2021年7月)

当社グループおよびお取組先におけるサプライチェーン上の課題を抽出、リスクを排除し、各社単独では実現できない課題解決を進め、責任ある調達を実現するための第一歩として、「サステナビリティ調達に関するアンケート」を初めて実施しました(対象:百貨店事業の売上上位約7割を占めるお取組先、その他事業や後方部門の主要お取組先)。
設問は、コンプライアンス、品質管理、持続可能性、環境、人権のカテゴリーに関して、各社における方針やガイドラインの有無、サプライチェーンを含めた実効性向上施策で構成しています。また、“think good”やコロナ感染拡大防止対策等への認知度、その他ご要望も伺っています。

アンケート結果概要
  • 回答結果 292社(グループ)よりご回答をいただきました(回答率 51%)。

    最も積極的に取り組まれている項目は、品質管理への対応でした。特に組織体制や運用については多くの企業が専門組織を有しており、安心・安全な商品を共に提供するパートナーとして引き続き精度を向上させてまいります。
    一方で環境(生物多様性保全、水資源、環境データの開示)、および人権(雇用、不当労働、労働安全衛生等)のサプライチェーン全体のマネジメントに関して、多くの企業において、自社内については把握しているものの、さらに先のサプライヤーの実態調査は難易度が高いということがわかりました。
    当社グループの取り組みにおいては、コロナ感染拡大防止対策への認知度が8割という結果となりました。出勤・勤務ルールを含む対応方針およびご協力依頼を複数回にわたって実施したことに対し、ご理解が進んでいることがわかりました。

  • アンケート結果概要
今後の取り組みについて

社内での理解浸透を継続して行った上、お取組先各社とのコミュニケーションを発展させていくとともに、業界特性に応じたアンケート実施による実態把握と改善を進めていきます。環境・人権問題については業界全体での取り組みが必要であり、官公庁や業界団体への提案・働きかけや協業を進めていくとともに人権デューデリジェンスについても検討を進めています。

  • 当社グループ国内各社のステージB(課長・係長級)以上(約3,600名)を対象に、「調達方針に関するeラーニング」を実施、理解と遵守の風土醸成に努めています。
    主な内容
    ◆ 責任ある調達とは
    ◆ 三越伊勢丹グループ調達方針策定の目的と内容
    ◆ ケーススタディ

  • 調達方針に関するeラーニング
お取組先とのコミュニケーション体制
お取組先とのコミュニケーション体制
三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部

品質管理の取り組み

三越伊勢丹グループは、長い歴史において、常にお客さまへ安心・安全な商品をお渡しすることを念頭に、品質の確保に取り組んでまいりました。
お客さまアンケートでも常にご期待の上位である「商品の品質・安全の確保・正確な表示」は、同時に多くのお客さまからの評価も得られてきたところだと考えています。
百貨店は様々な商品を取り扱っていることが特性ですが、すべての商品に法律の規制があるわけではありません。法律を遵守することはもちろんですが、法律の規制がない分野の商品についても当社グループの独自基準やルールを設定することで、様々な商品の品質を確保し、お客さまに安心してお買物をしていただけるための土台を作り上げることが品質管理の役割だと考え、取り組んでいます。
また、基準やルールを定めるだけではなく、その基準やルールが守られているかを確認するための自主点検の運営や、様々なツールを使った社内教育の実施、さらにはお取組先との連携を構築することで、より高い品質管理の実現を図っています。
当社グループの重要方針の1つである「調達方針」にも品質管理の項目がありますが、日々の業務行動につなげられるよう、より具体的な品質管理への姿勢を個別に設定しています。
「調達方針」はもちろん、その上位方針である「サステナビリティ基本方針」と連携し、よりよい社会の実現にも貢献してまいります。

品質管理への姿勢

三越伊勢丹グループは、お客さまのニーズとともに多様化する商品やサービスについて、常に安心・安全を最優先に、お客さまのご満足と信頼に応えられる品質を追求します

◆ 関連する法令を遵守するとともに、お客さまにご満足いただける品質をご提供するために必要な自主基準やルールを作成し、お取組先を含めた社内関係者全員に周知いたします

◆ お客さまへ安心・安全な商品をご提供するために、表示・外観・衛生などの点検活動を推進し、当社グループ社員一丸となって実践します

◆ 品質管理に必要な検査体制を社内に整備し、維持していきます

◆ 環境や資源への配慮、適正な商品調達も含め、品質管理面からのトータルサポートに取り組みます

品質管理基準・ルールの策定

当社グループが安心・安全な商品をお客さまにお届けするために、法律遵守に加え、当社グループ独自の品質管理基準やルールを定めているものがあります。例えば、食品・レストラン、化粧品、宝石・アクセサリー、衣料品などですが、商品分野に応じて幅や深さを持たせることで、お客さまのご期待に応えられるようにしています。
また、品質に関連する多くの基準やルールは、お取組先との連携を欠かすことができません。お買場の販売員、お取組先、そして品質管理が一体となって、安心・安全な商品をお届けするために、基準やルールの適正な運用に日々取り組んでおります。

三越伊勢丹グループ 食品衛生管理計画書
~HACCPの考え方を取り入れた食品衛生推進活動~

2021年6月から制度化されたHACCPの考え方にもとづく衛生管理計画書を作成しました。基本的な内容に加え、当社グループの独自ルール(食品取扱い基準、デリバリールール等)も含まれ、食の安全を確保するために、食品・レストラン担当者がバイブル的に活用できるものになっています。また、この衛生管理計画書をいつでもどこでも確認できるよう、業務用スマートフォンで使用できるアプリを導入することで、利便性の向上も実現しました。

※HACCP(ハサップ)=Hazard Analysis and Critical Control Point の略で、国際的な食品衛生管理方法の1つです。

三越伊勢丹グループ アレルギー情報提供マニュアル

食物アレルギーは一歩間違えれば生命の危機につながる重要なファクターです。
正しいアレルギー情報を提供することで、お客さまに安心して食品を購入し、召し上がっていただけるよう、このマニュアルに当社グループルールをまとめています。

三越伊勢丹グループ 品質管理基準

衣料品・雑貨・リビング製品の主要アイテムごとに「品質基準」「機能性基準」「検品基準」を定めており、お取組先と商品の品質確認を行うために活用しています。特に、法律の規制がない分野の商品において、品質の拠り所となる一冊です。

百貨店の商品点検

百貨店の売場では日常的に商品点検を行っておりますが、そのうち、会社のディフェンスラインの機能を働かせながら重点リスクの未然防止策として行っている点検を自主点検と位置づけています。アレルギー強化月間と食中毒予防点検の二つの自主点検に加え、商品の安全性を確保するために日常点検を実施しています。いずれも店頭のスタッフを中心に各店舗が主体的に取り組んでおり、商品の安全性確保に大きく寄与しています。

お買場商品点検(日常点検)

全店全売場を対象に、陳列している商品の点検を、品質管理が発信する年間テーマと月間テーマにもとづき実施しています。見つかった不適は現場で速やかに改善されますが、全国に影響が出るような重大不適が見つかった場合には、品質管理がハブとなり全店へ情報を共有することで、全店的な事故予防にも効果を発揮しています。
また、商品点検を行うために商品知識や品質知識を身に付けることができるため、スタイリストのスキルアップにつながる相乗効果も図られています。

アレルギー強化月間(自主点検)
  • 各ショップにアレルギー台帳が整備されているか、アレルギー台帳と店頭POPは一致しているかなど、お客さまへ正しいアレルギー情報が提供できる体制を整えることを目的に、年に2回自主点検を実施しています。食品・レストラン取扱部門以外の第三者の目としてスタッフ部門(総務等)が点検することにより、効率的に不適が発見されます。万が一間違いが見つかった場合には速やかに修正し、アレルギー事故の予防を図っています。

  • 『アレルギー強化月間』点検フローイメージ

    『アレルギー強化月間』点検フローイメージ
食中毒予防点検(自主点検)

HACCPの考え方にもとづく記録(健康管理記録・温度管理記録等)を適切に行っているか、基本となる衛生管理計画書が保管されているかなどを点検することで、法対応が適切に行われているかを確認するとともに、食中毒リスクの軽減を図っています。年2回の自主点検だけでなく、日々の食品衛生管理は私たちの重要なテーマです。

『食中毒予防』点検フローイメージ

『食中毒予防』点検フローイメージ

化学物質への対応

三越伊勢丹グループ百貨店各店舗では、「三越伊勢丹グループ品質管理基準」にもとづいたチェックおよび管理を行うことで、商品や店舗環境の安心・安全につなげています。
また、化学物質への対応は、「調達方針」の《7.化学物質の排除》にも連携します。

(1)「ホルムアルデヒド」への対応

「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で規制されている「ホルムアルデヒド」について、特にベビー用品売場における管理が重要です。当社グループでは、〈商品〉〈販売〉〈環境〉面からの管理を適正に実施することで、ベビー用品の有害物質に対する安全性を確保しています。
① 当社グループの直輸入およびプライベートブランドのベビー用繊維製品(法規制対象品)は、全品番全色のホルムアルデヒド検査を行い、規制値以下であることを確認しています。
② ベビー用品売場で販売しているベビー用繊維製品の中から、任意に年間約50商品の「ホルムアルデヒド検査証明書」をお取組先と相互確認する抜き取り調査を実施し、継続的に適正な商品管理体制が維持されていることを確認しています。
③ ベビー用品売場で使用している棚・什器は、社内マニュアルにもとづき年1回ホルムアルデヒド環境検査を実施し、ベビー用品へホルムアルデヒド汚染をしない環境の維持・管理を行っています。

(2)「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」への対応

「有害物質を含有する家庭用品の規制に関する法律」で規制されている「特定芳香族アミンを容易に生成するアゾ染料」の規制対象品に加え、「三越伊勢丹グループ品質管理基準」では和装や座布団なども対象品として追加指定しています。この内容に沿って、2016年4月より、お取引を最初に始める段階において、食品以外のすべてのお取組先から「有害物質不使用宣言書」(該当商品を取り扱っていない場合は「対象製品の取り扱いに関する証明書」)をご提出いただいています。

品質知識を習得できる社員教育の実施

  • 商品に関連する品質管理の知識は、スタイリストがお客さまに必要な商品情報をご説明する上でも、お客さまの安心とご満足につなげるためにも、とても重要です。お買場はもちろんのこと、イセタン ミラーやふるさと納税などの新規事業担当部からの教育要請も増えており、より幅広い対応が求められています。
    かねてより、各部署の要望に応じた品質管理教育を講習会(集合教育)という形で数多く開催してまいりましたが、コロナ禍となったこともあり、テレビ会議形式の講習会や、テーマを細かく設定した短編動画の作成など、徐々にDX化を進めることで、お買場がより便利に教育の機会を得られる環境づくりを推進しています。ほかにも、品質管理メンバーがその時々のトピックスを加えてオリジナルに作成した問題を、通信講座という形で年2回、グループ百貨店全店を対象に実施しています。すでに15年以上の実績があり、2020年度も延べ9,000名(/年)以上が受講している基礎的な教育の1つです。
    これら通信講座や動画などの品質管理が持っている多くの教育ツールを、人事統括部が2021年度からスタートした当社グループ共通eラーニングシステムと連携し、集約することで、いつでも自主的に学習できる環境も整えました。学びたいとき、知識が欲しいときに、いつでも必要な品質知識が得られる環境づくりに、お買場の希望を取り入れながら、今後も前向きに取り組んでまいります。

  • グループ共通eラーニング画面グループ共通eラーニング画面
■INTERVIEW 品質管理は事故を未然に防いでのれんの信頼を守り、社会を守る。
(株)三越伊勢丹ホールディングス 総務統括部 コンプライアンス部 榎本 明子
  • (株)三越伊勢丹ホールディングス
  • 総務統括部 コンプライアンス部
  • 榎本 明子

※在籍所属は2021年11月時点のものです。

品質管理を取り巻く環境

皆さまは、「品質」という言葉にどんなイメージを持っているでしょうか。データ偽装、異物混入、産地偽装など、様々な「品質」に関連する問題がニュースで取り上げられることも多く、高い「品質」を維持することの重要性は年々高くなっております。社会の「品質」に対する目もより厳しくなっており、「品質」の問題は、企業の存続にさえ影響を及ぼすような重大なリスクとなっています。
また、社会環境の変化とともに品質管理を取り巻く問題も変化しますが、過去に社会的な問題になったことが、忘れた頃に形を変えて再度問題になることも多くあり、「品質」の課題は継続的に取り組む必要があると感じています。さらに、最近では商品の流行やトレンドの移り変わりが早く、加えて法律や規則の改訂や新設も多くあり、情報を素早くキャッチすることがとても重要になっています。

私たちが大事にしていること

お客さまが三越伊勢丹グループに求める商品品質への期待は、創業当時から先代が築き上げてきたのれんへの信頼につながっています。ゆえに、こののれんへの信頼を守ることが、私たちの最大のミッションです。
のれんへの信頼については、まだ私が若手の頃に、多くのお取組先からも教わりました。例えば、「三越や伊勢丹からお墨付きを貰えれば、他社へも自信を持って薦められる」とか「上司から三越や伊勢丹の品質管理へ確認してから決定しろと言われた」などなど、相談を受ける責任の重さを感じながら、とても嬉しかったことを今でもよく覚えています。先輩方が真摯に取り組み築いてきた信頼を損なわないように、私たち後輩はしっかりとその土台を継承していくことがとても大事だと考えています。

品質管理の取り組み

品質管理は様々な業務を担っていますが、このレポートでも一部をご紹介させていただきました。
品質管理というと、何か問題が発生した際に対応する役割だと思っている方もいますが、私たちが考える本来の役割は〈事故の未然防止〉です。土台としての「基準・ルールの策定」、事故予防の武器となる知恵を得るための「教育」、そして適時不適品を排除する「日々の点検」などに力を入れているのは、そのためです。他にも、直輸入品の適正な検品体制の構築や表示の指示など、一部メーカー的な役割も果たしています。
一方で、事故の未然防止の観点に加え、万が一の事故発生時の被害拡大防止においては、品質管理としての専門性を活かした対応も行っています。例えば、社内に設置している検査室で定期的に店内製造品の細菌検査を実施して衛生状況を確認したり、食品に重篤な異物が入っていた場合にはその工場まで出向き、原因を特定し、再発防止策がきちんと取られていることが確認できるまで商品の再販は認めないなどです。私も実際に、事前確認や改善対応を含め、300カ所を超える食品関連の厨房や工場確認を経験しています。
このように、品質管理は安心・安全な商品を確保するために努力をしていますが、一緒に取り組んでいる〈お買場のスタイリスト〉〈バイヤー〉〈各店舗〉、そして〈お取組先〉の方々の働きがあることも忘れてはいけません。それぞれが信頼関係を築き、連携を図ることではじめて、良い「品質」の商品をお客さまへ提供することが実現できるのです。私たちは黒子として、またある時は前面に出て対応できるよう、今後も精進と関連各所との連携を進めていきたいと考えています。

これからを見据えて

当社グループがこれからも持続的成長を続けていくためには、お客さまが商品やサービスを安心・安全にご利用いただくことを大前提としながらも、品質管理という狭義の意味に囚われることなく、今後の社会的な役割(プラスチック問題、化学物質への対応、フードロス等)へも積極的に関与したいと考えています。それぞれが持つ得意分野が相乗効果を発揮し、部門を越えて連携できることが理想です。それが実現できるよう、私たちも知見を深めていかなければなりません。品質管理が持つノウハウや知識が、様々な現場の仲間に役立つと思って貰えるよう、メンバー全員が一丸となって新たな1ページを作るために努力してまいります。
サステナビリティレポートをご一読いただき、当社グループの品質管理について知っていただければ幸いです。

三越伊勢丹HD 総務統括部グループ総務部